規律、共感、そしてさりげない変化の追求——東京からグローバルスタンダードへ。
本号の Inside the Aesthetic Mind では、形成外科専門医である みやた形成外科・皮ふクリニック院長の宮田成章先生 を特集します。
臨床研鑽を経て培われた規律と精緻な手技を基盤としながら、常に患者中心の医療を実践してきた宮田先生。その臨床姿勢は、解剖学的理解と科学的根拠を重視した審美的アプローチに貫かれています。
本インタビューでは、過度な変化を求めるのではなく、機能性・安全性・自然な審美性の調和を重視する現代美容医療の在り方について、臨床経験に基づく視座から語っていただきます。
洗練されながらも過度にならない、自然で本質的な美しさ。
宮田先生が考える美容医療の在り方とは——。
1.形成外科で10年間の経験を積まれた後、美容医療の自由診療へ転身されたきっかけを教えてください。
2000年前後にレーザー脱毛やしわのレーザーのさまざまな機器が開発され、マーケットで非常に話題になっていたので、これからそういう時代が来るだろうということを感じ、今がチャンスと思ったのがきっかけで美容の世界に入りました。
私が美容医療に転身した25年前は美容外科手術をやらないとやっていけない時代でした。形成外科の中の再建外科に呼ばれて美容外科手術をやっていたのですが、美容的な要素がないと再建はできません。そのため、美容のクリニックに入って勉強していました。そこで素晴らしい師匠に出会うことができ、色々教えていただき、多大な影響を受けました。
美容医療に入った当初は、非侵襲治療の市場がここまで大きくなるとは思っていませんでしたが、絶対大きくなるとは思っていました。そのため、当時は手術をやっている場合じゃないと思いました。そう思ったのは、マーケットが引き上がるぐらい、患者さんが我々のところで医療脱毛を受けるようになったからです。その当時は、脱毛だけで経営しているクリニックもパラパラ出てきて、経営が結構うまくいっているクリニックがあったのですが、2003~2004年くらいから価格競争の波に飲まれて駄目になっていきました。脱毛は結局値段でしか競争できない世界です。私は美容医療業界に最初は脱毛で入りましたが、脱毛はいずれ医師の技量は関係なくなるので、違うことやらなきゃと思っていたら、さまざまな機器が市場に出てきたので、そちらの方にどんどんシフトしていきました。
2. 美容医療に携わる医師に関して、優れた医師と真に卓越した医師を分ける要素は何だとお考えですか?
その2つを分ける要素というのは、どうやって医師が「この人はこういう医師です」と言えるかということだと思います。 基本的には皆さん優秀だと思うのですが、新しいトレンドをしっかりと身につけることです。そして美容の医師にありがちなのですが、基礎がない先生方が多いので、やはり基礎をしっかりすること。それから世の流れをしっかりと理解していることです。つまり古い考えに固執するのではなく、常に新しいものを積極的に取り入れつつ、かつサイエンスベースでしっかりと理解をすること。この2つを両立できるのが優れた医師だと思います。
この業界のハードルは、大学で美容を勉強することは不可能なのにアカデミックにやれという業界になっていることです。 じゃあどうやってやるの?ということになると、個人が勉強するしかないですよね。大学で研修できないからといって、若い医師がアルバイトに行っても、ただお金を稼げるからという理由で行っているのか、学びに行っているのか。 そこで大きな違いが出てくると思います。 どういう医師について学ぶのかというのもありますし、結局学会にちゃんと参加して勉強をしたり、論文や本をちゃんと読んだり、といったことも関係してきます。
3. 宮田先生は PrimeX や 高周波テクノロジーに関して深い知見をお持ちです。今後ユニポーラRFは非侵襲治療の未来にどのような役割を果たすとお考えですか?
私はやはり、Prejuvenationの時代がどんどんやってくるのではないかと考えています。この言葉自体も最近できた言葉ですよね。Chat GPTで調べると、最近美容の分野で使われる造語と出てきたので、Chat GPTもちゃんともう分かっているんですね。 そのくらい新しいけれど、美容業界で出てきた言葉ということは、我々はやはりそっちの方向に向かっていっているわけですよね。いかに若さを保つか、という市場が既にあると思いますし。その上でやはり深部加熱をして、コンディションを整えるというものが1つの大きな軸になると思っています。 サーマクールやウルセラ等とは違う軸、つまりPrejuvenationの軸というのも持てるので、そちらの方がこれから益々大きくなっていくといいなと思っています。Prejuvenationに適した色々な機器があるので、この分野がもっと成長していく必要がありますし、その最初のリーダーになるのがPrimeXです。
4. 美容医療を始めたばかりの医師が良く直面する課題にはどのようなものがありますか?
一番はこの業界が複雑になり過ぎていることです。例えば機器ひとつとっても、理論などが複雑になりすぎています。それを全部把握することがそもそも難しいのです。それから1台の機器を買えば成功する時代ではないので、とりあえず買ってみてもうまくいく時代でもないわけですよね。
若い先生にとって、非常に複雑でどこに方向性を見出していいか分からない時代になったというのが今一番感じることですね。答えは一つではないです。複合的に全部を受け止めて、どこかに道を見いださなければいけない時代になってしまいました。
大変ですがリピート患者を作るためには嘘をつかないことが大事です。患者さんと信頼関係を築くことが大事です。信頼できる情報を与えて、患者さんが希望する治療であってもやらない方がいい場合は、「やらない方がいいよ」と話して患者さんを導いてあげるとリピーターになるんですよね。でもそれは結構大変ではありますが。
5. 流行の変化が激しい市場の中で、常に進化を求めながらも安全性や倫理を重んじる姿勢をどのように両立されていますか?

年を取るほど新しいものに手を出さなくなりがちなのですが、最良の医療を提供するためには新しいものを取り入れることは絶対に必要です。
新しいものを必ず学ぶ必要があるのですが、私は基本的には日本にいたら学べないので海外に行って情報を取ってくる、もしくは企業体が日本に来るときに訪問してくれるクリニックになろうと思ってやってきました。 つまり、グローバルな情報をいかに取るようにするのかということと、新しいことに手を出すということです。 新しいことに手を出すときは、企業の言うことを鵜吞みにせずに、医師同士のネットワーク内で先行している医師は必ずいるので、その人たちに聞いて情報を得ています。全く分からない、見たことのないようなものであれば、必ずそのように確認します。
少しでも安全性に疑いを持ったら、流行っていても手は出しません。患者さんに結局迷惑をかけることになりますので。最初はよかったけど、ある一定の確率でトラブルがあったりするものだと怖いですよね。 その確率が高ければ、どんなに治療結果が良くてもダメじゃないですか。 だから、最初2~3人やる時はとても 結果が良くて、すごいなと思ったとしても、10~20人やると1人ぐらい変なトラブルが出てくるわけですよね。 そういう時には自分で後悔するので、 そうならないように先にやっている医師から聞いたり、文献を調べたりします。
企業とのコネクションと医師同士のグローバルな横のコネクションの両方が大事です。企業なんて、というのもダメだし、ドクター同士の関係を持たないというのもダメです。ネットワークをどれだけ太く作るかですね。
それから、「世界に行きましょうね」といつも言っていますが、日本から外を見るというのはすごく大事だと思います。
6. 日本では「控えめで上品な美」が理想とされる傾向があります。日本ならではの美意識は、先生の治療へのアプローチにどのように影響を与えていますか?
日本の美意識の影響はやはりあります。 単純に言えば、患者さんが保守的であるということです。
患者さんがダウンタイムを望まないというような、レベルの線を低く引かれるというのも1つにありますし、より良い結果を求めるというのもあります。 日本人が求める良い結果というのは、 わお!という変化ではなく、ミスのない間違いのない変化です。例えば左右ちょっと違うとか、注入でもほんのわずかに膨らんでいても、日本人は「ダメ」と言います。
日本人はより繊細で、細かいところまできれいにしないとダメで、決してそれが大きな変化ではなくて控えめな変化でもいいけれど、きっちり治さないといけない、というのを常に感じます。 それが我々の治療にも反映されており、例えば治療のプロトコルなども海外からきたものをそのまま使わずに繊細になっていったり、機器でもちょっとここがおかしいよ、というジャパンクオリティーを我々は追求しています。
7. 理想を求めすぎる患者様に対してどのようなアドバイスをされていますか?
私はよく7割の成功と言っています。 もうちょっとこうなったらいいのに、という3割は何か微妙なところを残した方がいいだろうと。控えめにやった方が長く続きます。100%にすると、例えば注入なりヒアルロン酸なり、5%効果が落ちたら満足度が95%になり、またやりたくなり、止まらなくなります。だから、ヒアルロン酸でもどんどん顔が大きくなってくるんですよね。 ちょっと凹んだら入れたくなる。真っ平にならないと気が済まなくなるわけです。
70%ぐらいでやって、「もうちょっとした方がいいね」という感覚も日本人的かもしれないですね。
私は「実年齢マイナス何歳を目標に」とよく言っています。 例えば40歳の時に30歳の顔になるのはいいかもしれませんが、60歳の時に35歳の顔にはなれないので、常にマイナス5歳であれば、50歳になったら45歳とか、60歳になったら55歳くらいの自分を目標にして作っていた方が楽ですよ、と。いつまでもこの顔、ずっと同じ顔でいたいというのをやめた方がいいですよ、と。
自然に美しく年を重ねつつ、若々しさも保つ、それがprejuvenationに繋がっていきます。
8. 複数の権威ある学会に所属されていますが、クリニック経営で多忙な中でも、こうした専門コミュニティに積極的に関わる意義はどこにあるとお考えですか?
新しいことを取り入れることもですが、医者を医学者もしくはサイエンティストとして見れば、自分が得た知見をシェアしなければいけないというのはあります。それもあるから、学会という場で自分が学んだことをシェアしたいというところです。
あとは、まさに他の医師とのつながりを持ちたいということですね。
業界がどう流れていくかということと、どういうことがこれからトレンドになっていくかというムーブメントにちゃんと中に入りながら、一緒に動いていかないと置いてきぼりになるので、そういう意味では学会は大事です。
9. クリニックが競争力と倫理性を保つために、長期的にどのような価値観の転換が必要だと思われますか?

競争力と倫理性は相反する部分がありますが、 きちんとしていかないと長く続けられないと思います。
クリックを25年やってきて、競争社会の中で長く続けるためには、倫理性をちゃんと持たないといけないと思います。競争力と倫理性のどちらが先かという話になると、倫理性を持っているから長く続けられるのではないかと思います。
患者さんの顔がお金にしか見えないような倫理観のなさで、患者さんの将来がどうなってもいいや、みたいな治療をしてしまうと、後で大きなしっぺ返しにあいます。やはり信念をもって、患者さんのことを患者さんサイドに立ってすべて進めていくと、結局その人たちが20年ぐらい治療を受けに来てくれます。そのうえ、友達をたくさん呼んでくれます。ちゃんとした口コミが出来上がり、批判する人がいても、「そうじゃない」と患者さんが言ってくれるようになります。 そうすると、競争力につながります。
即答Q&A
外科的な精度と切らずに変える力、どちらを重視しますか?(侵襲 vs 非侵襲)
非侵襲
美しさとは、調和の追求と自己肯定感のどちらでしょうか?
両方
患者様とのカウンセリングで最も大切な要素は何ですか?
誠意
